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もっとアメリカズカップ!

2007年スタート。ニッポンチャレンジの復活を期待しながら、イタリア、ミラノからアメリカズカップ関連情報を発信。

第35回アメリカズカップのスキッパーたち

早いもので、アメリカズカップワールトシリーズ福岡大会から1ヶ月が経ちました。

福岡大会で私が会った、チームのキャプテン的な存在でもあり、アメリカズカップの主役たちである各チームのスキッパーについてお話しします。

それぞれが、世界のヨット界を代表する名セーラーでもあり、そのキャリアには日本のセーラーとは格段の違いがあることがわかります。

来年の第35回アメリカズカップ本戦の応援にも参考にしてください。

< Jimmy Spithill: Oracle Team USA >

オーストラリア出身。

アメリカズカップの現在の防衛艇であるアメリカのオラクル・チームUSAの顔とも言えるセーラー。

そのキャリアは、若干19歳で第30回アメリカズカップ(2000年、ニュージーランド、オークランドで開催)のオーストラリアチームのヘルムスマンを務めたことから始まりました。

私が、彼の存在に注目したのは、2007年スペイン、バレンシア大会(第32回アメリカズカップ)の時。

彼は、すでに当時イタリアチーム、ルナロッサのスキッパーを務めていました。

このバレンシア大会で、ルナロッサの若大将のような存在で、当時のニュージーランドでスキッパーを務めていたディーン・バーカーを脅かすライバル的な存在でした。寡黙ながらも攻撃的なセーリングが特徴だと思います。

その後、第33回大会からオラクル・チームUSAに移籍し、常にチームの顔として現在に至ります。

< Peter Burling : Emirates Team New Zealand >

代表スキッパーは、オーストラリア出身の Glen Ashbyですが、福岡大会ではニュージーランド出身のピーター・ブーリングに会いました。ポジションは、ヘルムスマンです。

チームニュージーランドの挑戦の歴史は長く、1987年から続いています。

2007年から第34回大会までは、現在ソフトバンクチームジャパンのスキッパー、ディーン・バーカーがチームニュージーランドのスキッパーを務めており、35回大会からチームが一新したうちのメンバーです。

ピーター・ブーリングは、2016年のリオ・オリンピック49erクラスのゴールドメダリスト。

2012年ロンドン・オリンピックのシルバーメダリストでもあり、当時は19歳で、最年少メダル獲得、ニュージーランドに100個目のオリンピックメダルともたらしたという記録を持っています。

2015年のISAF Rolex World で、男性部門のセーラーオブザイヤーも受賞しています。

これまでも、ニュージーランドからは、ラッセル・クーツを始めとしたアメリカズカップの歴史に残る優秀なセーラーが排出されています。これから、どのようなセーラーが頭角を現すのか楽しみです。

< Nathan Outteridge : Artemis Racing >

オーストラリア出身。

アメリカズカップのデビューは、第34回/2003年サンフランシスコ大会。

当時は、チャレンジャーチームに、Team Koreaが参戦しており、韓国チームのスキッパーを務めていましたが、当時から49er クラスで4度の世界チャンピオンを獲得した優秀なセーラーとして紹介されていました。

その後、スウェーデンのアルテミスが新チームとしてスタートした時からの、メンバーです。

2012年のロンドンオリンピックでは、金メダル、2016年リオオリンピックでは、アメリカズカップワールドシリーズのポーツマス大会を欠場したものの、銀メダルを獲得。

< Franck Cammas : Groupama Team France >

フランス出身。

アメリカズカップ参戦チームの中で、最年長のスキッパーです。

アメリカズカップは、今回35回大会からのデビューですが、 グルパマの前に存在したEnergy Team Franceには、カタマランの王者と異名を持つフランス人のLoick Peyronがいて、過去のアメリカズカップでのセーリングが印象的で、フランスもなかなか技術を持っていると思わせられました。

フランク・カマは、世界一周レースからオリンピックまでこなすトップセーラーで、大西洋横断記録、世界就航レースのタイトルを総なめにした実力派。

2012年と2013年の国際セーリング連盟のセーラーオブザイヤーを受賞。

2015年には、練習中に足を負傷する大怪我を負って、リハビリを経てアメリカズカップに復帰した不屈のセーラーです。

< Sir Ben Ainslie : Land Rover BAR >

イギリス出身。

名前を読んで分かるように、イギリス王室から与えられる称号Sir (勲爵士)を持つセーラー。

それもそのはず。シドニー、アテネ、北京、ロンドンのオリンピックで、4大会連続の金メダルを獲得した正真正銘のトップセーラーです。

第35回アメリカズカップで、防衛艇オラクルを最もおびやかす存在とも言えます。

アメリカズカップのデビューは第31回大会/2003年オークランドだったようですが、私が注目したのは、第34回大会で、イギリスチームBARがデビューしたときのスキッパーで、同じ大会のアメリカズカップ本戦では、オラクル・チームUSAに移籍し、オラクルではタクティシャンとして素晴らしいパフォーマンスを見せており、オラクル優勝の立役者の一人とも言えるセーラーです。

冷静かつ、時にはしたたかなセーリングが印象です。

< Dean Barker : SoftBank Team Japan >

ニュージーランド出身。

1993年から2015年までチーム・ニュージーランドに所属し、1995年には同じチーム・ニュージーランドでもう一人のレジェンド、ラッセル・クーツとともにアメリカズカップの優勝経験を持っています。(当時なんと22歳!)

私が注目を始めたのは、2007年の第32回アメリカズカップのスペイン、バレンシア大会。

当時は、ニュージーランドがチャレンジャーチームの中でも挑戦艇の最有力候補のチームで、そのスキッパーはディーン・バーカーでした。しかし、そのチーム・ニュージーランドにジミー・スピトヒルがスキッパーを務めていたイタリアのルナロッサが、何度が勝利を取り返し、当時からディーン・バーカーとジミー・スピトヒルは宿敵のような存在でした。

2013年の第34回大会でも、本戦はジミー・スピトヒルが率いるオラクルと、ディーン・バーカーのチーム・ニュージーランドの一騎打ちとなり、最後まで見逃せないセーリングをしました。

口数が少ないものの、常に冷静で的確な判断ができ、揺るぎのない安定したセーリングが印象です。

2015年の初めに、突然のチーム・ニュージーランドから脱退する発表に驚きましたが、その後2015年5月にソフトバンク・チームジャパンのマネージャーとしてアメリカズカップに戻ってきてくれました。

この人がいなければ、今はソフトバンク・チームジャパンは語れないですし、アメリカズカップも寂しくなります。

これからもチームリーダーとしてもどのような成長を続けてくれるのか楽しみです。

いかがでしたか?

これからも、お楽しみに!

それではまた。