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もっとアメリカズカップ!

2007年スタート。ニッポンチャレンジの復活を期待しながら、イタリア、ミラノからアメリカズカップ関連情報を発信。

アメリカズカップまであと1ヶ月未満!

5月26日から始まるアメリカズカップの予選になるルイヴィトンカップまで、あと1ヶ月未満となり、イタリアのヨット専門誌VELAでも予想を含めた詳しい記事が出ましたので、紹介します。

アメリカズカップ:精算の時があと1ヶ月で始まる

舞台裏で論争やいやがらせ、毒舌が飛び交ったものの、5月26日からバミューダでアメリカズカップ本戦のためのルイヴィトン・アメリカズカップ予選がスタートする。

アメリカズカップ獲得を賭けて 、防衛艇と挑戦艇が1体1で競うために、本来なら(伝統では)予選では防衛艇は参加しないことになっているが、今大会は違うものになっている。オラクルは34回サンフランシスコ大会で、ニュージーランドを相手に競い、アメリカズカップを失いそうになる大きなリスクを経験したことから、2度と同じ過ちを犯したくないのが本音で、そのためにアメリカのシンジケートは、レース中のミスを一刻も早く修正できるように予選で挑戦艇と競うことを望んだ。

*煩わしい防衛艇の存在

オラクルは予選になるルイヴィトンカップのセミファイナルステージで登場する予定になっている。

6月10日から12日にかけて本戦出場の挑戦艇を決定するファイナルステージが予定されており、アメリカズカップ本戦は6月17日から27日に開催される。

*どんなアメリカズカップになるのか?

オラクルの高慢で横暴な体質を考慮したとしても、また何かを語る新しいストーリーが待ち受けているような予感をさせられる。

*ACCヨット

これまでトレーニング中に何度も選外にクルーが落ちるハプニングで示されたように、安全面での心配が残るものの、ヨットの構造の主要部分が統一され、船体の長さとセーリングのパフォーマンスの関係は、おそらくこれまでにないエンターテイメント性を持つ、風で推進する手段のヨットとしての見どころ。

確かに、このヨットがこれからも「帆船」として考えられるべきなのか、それとも他の種類のスポーツとして分類されるべきなのか、疑問に思う人が多いだろう。

あと数十日で、世紀を超えた最古の「水差し」を賭けて、バミューダが挑戦する男たちのレースの場になるというのがこのイベントの本質だ。

世界のトップセーラーが、このトロフィーのために競う価値があると考える限り、カップは存在し続け、誰もカップの存在を無視することはできない。

好き嫌いは別として、スポーツ史上最も古い競技が今もなお存在し、そこに世界のトップクラスの才能が集まる。

Ben Ainslie, Nathan Outteridge, Tom Slingsby, Perter Burlingは、これからも挑戦を続けることを宣言している。

オリンピックメダルと世界レースでの勝利は、このアメリカズカップの主役として集める功績と比べものにならないからだ。

もし、レースが接戦になるならば、きっと良い結果が期待できる。

45ノット以上のスピードで展開されるマッチレースは、レース中ヨットの船体が水面につくことは数回になり、迫力のあるレースは最初から汚点を出すより注意深く見るべきである。

最重要ではないが、Team NZの存在がある。これまでKiwis(ニュージーランドチームのニックネーム)は、予算に制限があることを理由に地元のオークランドで準備し、水面下で動いてきたが、手動のコーヒーグラインダー(ウインチ)の概念を変えるペダルのアイデアを採用したヨットを作った。

Team NZは、最後にバミューダ入りしたチームだが、秘密を搭載したヨットでその能力は未だ計り知れない。

ペダルの要素は決定的なものとなり、アメリカチームを刺激した。

その時点から、オラクルの姿勢がまたしても一変した。

テストレースの予定を修正しており、情報通によるとTeam NZの新しいアイデアは、オラクルにとって迷惑なものであり、神経質にさせたとのこと。

* 2000年からアメリカズカップにイタリアチームが参戦しない初めての大会。

イタリアで活躍する多くのプロセーラーがこの大会にかけてきて、Luna Rossa, +39, Mascalzone Latinoのイタリアチームの存在は10年間途切れることはなかった。

イタリアのヨットがアメリカズカップに参加しないことが良いことか、悪いことか。これは今大会の結果が大きく左右するだろう。

誰がどのようにしてアメリカチームを勝ち取るか?

今大会の形式が良いとされるのか、または、Team NZがアメリカズカップを制覇するのか?

イタリアの「休憩」はそう長引かないことが予想できる。

* Team NZのペダル

Emirates Team New ZealandのACCは、ハイドロシステムで、フォイルを効果的に調整することが特徴になる。

逆T字ラダーとウィングセールの操縦をより流動的にさせる。

ハイドロシステムにエネルギーをもたらすために、グリンダー(ウインチ)を絶え間なく動かすポンプ活動を行うのがグリンダーポジションの役目になる。

グリンダーは事実上エネルギー貯蔵となり、高いハイドロシステムの圧力を維持することで、タイミングよく他の操作の調整を行いやすくする。

圧力維持の低下になると、他の操作の調整に支障をきたし、垂直方向の即だの低下の原因となり「Nose Dive」と呼ばれる、過去にサンフランシスコ大会で起こったようなTeam NZの前のめりの転覆など、思わしくない状況を引き起こす可能性が伴う。

Noze Dive - Team NZ

手で動かすグラインダー(ウインチ)をペダルを使い足で動かす方法に変えたのは、不思議なことではなく、足の力は腕よりもよりエネルギーを生み出しやすいため、大きな体格をしたTeam NZのグラインダー(ウインチ)は、船上で快適に座って、狂人のようにペダルを漕いで、ハイドロシステムの圧力を維持することになる。

このアイデアは、全く新しいのか?といえば、そうではない。

実は、1976年にアメリカズカップで採用されたことに時代はさかのぼる。

Pelle Pettersonが、スェーデンチームのためにこのペダルのアイデアを使い、有利にさせたが、当時は迅速に違反とされた。

*予想

Oracle :

サンフランシスコで逆転劇を見せたように、チーム力はあり、予算にも余裕がある。

トップレベルのセーラーを集め、防衛艇としてポジションを守るために競うことになる。

Land Rover BAR :

最も有力視されている挑戦艇で、このチームにとっても予算は重要な要素。

初めてのスピードテストでの結果は、決してよくなかったが、それも戦術のうちの一つなのか?おそらく、イギリスチームのスピード面での問題は、ここ1ヶ月で改善されるだろう。Ben Ainslieは、イギリスで作られた最古の「水差し」(アメリカズカップ)を母国に持ち帰る偉業を成し遂げたとして記録されることを望んでいる。(手加減はしないだろう)

Groupama Team France :

チーム自身にとってこの大会への参加は、フランスチームが将来より競争力のあるチームになるための一つの架け橋であり、参加当時は低めの予算でスタートしたこともあり、今大会でフランスチームが有力な挑戦艇として見ることは難しいのは、これまでのランキングと、スピードテストからも読み取れる。

SoftBank Team Japan :

体制的にはフランスチームと似ている部分があるが、大きな違いはアメリカズカップ経験者のDean Barkerの存在。オラクルの衛星的な存在でもあるが、甘く見るべきではない。スピード面で力を伸ばしている。

Artemis Racing :

サンフランシスコ大会で、クルーの死亡事故のショックから戻ってきたチームであり、競争力のあるプロジェクトで今大会に参戦した。

ランキングではLand Rover BAR かTeam NZの後ろにくるチームであるが、船上には貴重な才能を持ったセーラーがおり、ここ最近のスピードテストでも見せたような好成績が期待される。

Emirates Team New Zealand :

これまで他のどのチームとも協力してトレーニングをすることもなく、完全に孤立していたことで、まだバミューダで完全なパフォーマンスを見せていないので、予想は難しいが、競争外とみなすのは間違い!初めてのスピードテストで、Team NZはすでに他のチームに対して筋肉を見せている。

長い内容になりましたが、レースの見どころとして参考になると思います。

Team NZのスピードテストの結果も追って更新する予定です。

それではまた!

Giornale della Vela 270417