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もっとアメリカズカップ!

2007年スタート。ニッポンチャレンジの復活を期待しながら、イタリア、ミラノからアメリカズカップ関連情報を発信。

ACWS Napoli 2013/スーパーサンデー(最終日)

スーパーサンデーと言われるACWS最終日は、最後まで目が離せないレースになりました。

天候はくもり、海は昨日ほど荒れていませんでした。

マッチレース、フリートレースの主役は、EMIRATES でも J.P.MORGANでもなく、間違いなく、オラクルのSlingsbyとルナロッサ Swordfish のBruni でした。

<マッチレース/決勝戦>

ORACLE TEAM USA ○ vs LUNA ROSSA SWORDFISH ×

→ORACLE TEAM USAがマッチレース優勝。

スタートでルナロッサがスタートライン直前につけてオラクルをスタートラインから遠ざけさせるようにして、ルナロッサがすばらしいスタートを切りました。

レース前のインタビューで、ルナロッサのブルーニが、「今日は負ける気がしないな。」とコメントしていたことが印象的です。

第5レグまでは、ルナロッサが首位を保ち続けましたが、ドラマが起きたのは第6ボアを両艇がまわる手前。オラクルがルナロッサに仕掛けた罠にまんまとはまってしまった形で、オラクルがルナロッサの前に出ます。仕掛けた罠とは、オラクルがルナロッサと交差する際に、反対側のコース取りをするようなふりをしながら、実際はコース変更をしないで、一気にボアへ向かっていくという作戦でした。

この作戦により、オラクルはルナロッサを逆転。そのままゴール。

ルナロッサのフランチェスコ・ブルーニが、前半とても良いレース展開をしていたので、ナポリの観衆も盛り上がっていたところに、最後の逆転となり、ルナロッサはお祝いのシャンパンを引っ込めたでしょうし、オラクルはシャンパンをすぐに準備したことと思います。勝利のシャンパンに酔いしれるオラクルのスリングスビーと、もう一歩で優勝を逃したルナロッサのブルーニは、対照的でした。

ところが、マッチレースのこの勝敗はここで終わった訳ではなかったことを誰が予想していたでしょうか?

<フリートレース/第7戦>

1. LUNA ROSSA SWORDFISH

2.ORACLE TEAM USA

3. LUNA ROSSA PIRANHA

4. ENERGY TEAM

5. J.P.MORGAN BAR

6. EMIRATES TEAM NZ

7. HS RACING

8. ARTEMIS

9. CHINA TEAM

なんと!昨年のナポリ大会に引き続き、今回もルナロッサが最終戦で逆転優勝をする快挙を成し遂げました!

去年は、ルナロッサ ピラニア艇、今年はルナロッサ スゥオードフィッシュ艇が、しかもマッチレースで苦い経験をした、イタリア人のフランチェスコ・ブルーニが、オラクルのスリングスビーにオトシマエをつけるような形で、最終レグで逆転し自国イタリアで優勝を決めたのです。

レース自体は、フランスENERGY TEAMが第3レグまで好調でしたが、上位5位までは常に接戦の状態でした。第4レグで、フランチェスコ・ブルーニのルナロッサがコース外に大きく出てしまい、ペナルティーを受けました。

その間、オラクルとエネルジーが上位争いをしており、オラクルはエネルジーに対して、マッチレースで使った同じ作戦を使い、フランスチームをうまく欺いて1位で第5ボアを回るところでした。(この作戦をする直前に、オラクルのスリングスビーが、「ビッグクロス」と呼んでいました。)

その時、レース中継画面の右下から、フランチェスコ・ブルーニのルナロッサがいきなり姿を現したのです!解説者も「ブルーニはアンビリーバブルだ」と言っていましたが、今日は本当にドキドキさせられました。

第5ボアは、オラクル1位、ルナロッサ スゥオードフィッシュ2位で折り返します。

2艇はそれぞれ違うコース取りをしたのですが、それが最終的に勝敗を分けることに。

オラクルが取ったコース上に、まだボアに向かって進んでいたチャイナチームのヨットが通り過ぎる形になり、オラクルは減速をせざるを得ない状況になります。

その間、ルナロッサ スゥオードフィッシュが、順調にセーリングを続け、オラクルが「渋滞」から抜け出した頃には、ルナロッサが首位に立っていたのです!

それから、オラクルとの差を一時120mまで作り、ルナロッサ スゥオードフィッシュが見事に優勝!

とてもすばらしいレースでした。

ユーチューブのライブ中継で、アメリカ人ナレーターが「ブルーニはアンビリーバブル」と連発していたように、今日のフランチェスコ・ブルーニは、常に裏の裏をかいたコース取り、大多数のチームとは、全く反対のコース取りで、驚かせるものがありました。

ゴール直後に、ルナロッサのフランチェスコ・ブルーニは、「オレはバカじゃないぞ!」「オレはそんなにバカじゃないぞ!」と何度も叫んでいました。

その一言には、あきらめない精神や自身の能力に対する自信と、間違えてもすぐに取り戻そうとしたその姿勢が含まれているように思えました。

結果として、ACWSナポリ大会、フリートレースの優勝チームは、LUNA ROSSA SWORD FISH。

ここで、ルナロッサもやっとお祝いのシャンパンを開けることができました!

反対に、オラクルは、2本目のシャンパンボトルを取り下げたことでしょう。。。

ルナロッサのオーナーPatrizio Bertelli さん(ミウッチャ・プラダの夫)も、今夜は祝杯を揚げていることでしょう。

今日は、サンフランシスコに、ルナロッサAC72が到着したとのことです。

今日は、イタリアのテレビ局による中継がなかったので、「なんてお粗末な国!」と思いながら、ユーチューブのライブ中継で観戦しました。

やはり、レースはダイレクトで見ないと面白くないですね。

ナポリでは、5万人の観衆と言われています。

そんな訳で、今回のナポリ大会が、ワールドシリーズの最終大会となり、これでACWS2012-2013のチャンピオンシップは、終わりです。

ワールドシリーズ全期間の総合優勝チームは、オラクルです。

<ACWS Napoli 2013 フリートレース総合成績>

1. LUNA ROSSA SOWORDFISH -80 points

2. ORACLE TEAM USA - 80

3. EMIRATES TEAM NZ - 71

4. LUNA ROSSA PIRANHA - 70

5. J.P.MORGAN BAR - 65

6. ENERGY TEAM - 58

7. ARTEMIS WHITE - 40

8. HS RACING - 36

9. CHINATEAM - 30

LUNA ROSSA の今日の様子がFacebookのアルバムから見ることができます。

Francesco Bruni と Patrizio Bertelli のとても素敵な写真もあります。

リンクはこちら。

http://www.facebook.com/media/set/?set=a.274124729389605.1073741844.135173896618023&type=1

明日は、これからのアメリカズカップについてお知らせします。

それでは、また!