アメリカズカップ本戦/レース5,6
一言で言うと、ディフェンダーのオラクル陣営に暗雲が立ち込めてきたようです。。。
本日は、レース5,6が予定されていましたが、実際に行われたのはレース5のみ。
レース6は、スタート前にオラクルのレース延期申し入れが審判団に承諾され、レース6の延期が決定しました。
知らなかったのですが、各チームに今大会で1回だけレース延期を申し入れるカード(権利)があるそうです。
オラクルはその権利を使った事になります。
<総合スコア>
エミレーツ4 vs オラクル0
ここで、なぜオラクルのスコアが0になったのかと思われるかもしれません。
確かに、9月8日のレース4でオラクルが勝ちましたが。。。9月5日に国際ジュリーによる裁判で、オラクルがAC45ワールドシリーズ期間中に、不正にボートの修正を行っていた事がアメリカズカップ測定委員会によって抗議され、その判決が出たのです。判決内容は、大会中の勝利2ポイントの取り消しと、25万ドルの罰金だそうです。
従って、エミレーツは17戦中9戦勝てばアメリカズカップの勝者となりますが、オラクルは10勝しなければ、アメリカズカップは保持できないという立場に置かれています。
<レース5>風速15ノット
スタート1分前で、エミレーツはオラクルの後ろにつけるポジションで、スタート3秒前に両艇が一気にアクセルをかけ、スタートはほぼ同時。
オラクルは、エミレーツがいつも取るスタートライン右寄りにポジションを取ったので、エミレーツがいつものようにスタートできなくなり、エミレーツはオラクルに風を阻止されながら、第1ボアに対して内側のコースを回ります。
第1ボア:オラクル、4秒リード。
第2レグ:オラクルとエミレーツのリード差、110m、128m、154m、190mへと広がります。
(今日はオラクルがやるのか?!と思わせるセーリングでした)
第2ゲート:オラクル、8秒リード。
しかし、オラクルは「フォイリング、タッキング」と言いながらゲートを通過しましたが、このタッキングがあまり上手く行かなかったようでした。スピードが減速します。
第3レグ:アルカトラズ島手前。
ドラマが起きます。2艇のリード差はわずが52mになり、アルカトラズ島前で、エミレーツがリードし始めます。そのままエミレーツは向かい風にも関わらず、オラクルとの距離をどんどん広げていきます。35m、70m、80m、98m、103m、112m、308m、385m、570m!
第3ゲート:エミレーツ、1分17秒リード
オラクル、エミレーツとは別のボアを選んで回りますが、時既に遅しの様子。。。
第4レグ:2艇の距離は、1349mから、1487m、1511mに!
第4ボア:エミレーツ、1分14秒リード。
ゴール:エミレーツ、1分05秒リード。
総合スコアを4−0に!
*平均ボートスピード*
エミレーツ:30.21ノット/オラクル:29.17ノット
*最高ボートスピード*
エミレーツ:46.94ノット/オラクル:44.93ノット
<レース6>
冒頭でも触れたように、オラクルの延期申し入れにより、レース延期が決定しました。
この決定直後に、ジェームス・スピティルが、オラクルのダグボートにいたラッセル・クーツに呼び出されて、何やら2人でいろいろ話し込んでいる深刻そうな風景が見えました。
まるで、体育会系の部活で、監督にキャプテンが呼び出されて怒られている様な雰囲気。。。
インターネット上では、オラクルをあざ笑うコメントが増えてきました。
どうも、オラクルはクリーンなゲームより、どんな手段を使ってでも勝つ事に執着しすぎている事が、ここにきて全て裏目に出てきているようにも見えます。
ここまで負けていると、オラクルにいるイギリス人セーラー、ベン・アインスレーはどうした!
そろそろアインスレーを出した方がいいんじゃないか?というコメントも出てきています。
私も、同じ事を思いました。アインスレーをチームに温存して使わないよりは、この際、使った方がいいと思います。またタクティシャンのジョン・コステキーも批判の標的になっていますが、チームを再編成するなら、この辺の変更が考えられると思います。
今日11日は、休息日となり、レースの再開は12日(木)になります。
オラクルが、チームの気持ちを入れ替える事に成功し、どのようなチーム編成になるのか、その辺りが見所だと思います。
エミレーツは、スタートで勝たなくても、レース中盤でも十分にレースをひっくり返す実力がある事を証明してくれたレースだったと思います。とてもすばらしいチームだという印象を持ちました。
それではまた!
レースのハイライトはこちらから。